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感動と驚きの仕掛け人vol.2|「かいじゅうせかいせいふく」の作者に聞く(1)

インタビュー

「かいじゅうせかいせいふく」作者 ほしのこ(株式会社壽屋 企画チーム)

 

コトブキヤといえばプラモデルやフィギュアを想起する人が多いと思いますが、実は“女性向け商品”の開発にも力を入れています。「感動と驚きの仕掛け人」vol.2は、先月からWEBコミック配信サイト「コミックNewtype」(株式会社KADOKAWA)で連載がスタートした「かいじゅうせかいせいふく」の生みの親・ほしのこに話を聞きました。

※インタビューにはこの作品制作に関わっている山田恭司(経営企画室)も同席。ときどき発言しています

 

「女性向け市場への新しい取組」として考えたコトブキヤ初のオリジナルファンシーキャラクター

 

―まずは「かいじゅうせかいせいふく」が生まれるきっかけについて教えてください。

2年くらい前に「コンテンツ開発部」という部署ができて、私が異動になったのが始まりですね。

「コンテンツ開発部」は、壽屋がそれまでやっていないことに取り組む部署でした。そのときの課題の1つが「デジタル領域でお客さんに提供できるサービス」、もう1つが「女性向け市場に対しての取組」。「かいじゅうせかいせいふく」は、女性向け取組の成果です。

それまでも女性向け商品というのはあったのですが、今よりもうちょっとパイを広げていきたい、もっと幅広いお客さんに知ってもらいたいということから考えました。
でも当時は何をしたらいいか全然分かっていなくて。
毎週企画書を書いては、部のミーティングの中でプレゼンしあってきました。

―毎週企画書を書くとはすごいですね。

そうなんですよ。
毎週毎週、企画書を書いてメンバー同士で「ああじゃない、こうじゃない」と意見を出し合って。
そこから絞っていって社長・副社長にプレゼンしました。
でも、いろんなアイデアを出してはNG出されて、の繰り返し。
半年間かけて、訳も分からずとにかくやりました。
その中で、オリジナルファンシーキャラクターは残り、そこからはそれに向き合いました。

[山田]記録しているだけでも66個の企画がありましたね…。

オリジナルファンシーキャラクターを作ろうという方向性が決まったときに、自分たちでやるか、外の人に描いてもらうか考えたのですが、自分たちでやるのが良いだろうということになって、さらに社内公募をしたんです。
「興味ある方ぜひ応募してください」と声をかけたら20個くらい集まりました。
でもそのうち半分くらいは自分で出したものでしたけど(笑)。

それで、約20個のキャラクターで外部アンケートをかけました。
どれがかわいいか、ぬいぐるみだったらどれが欲しいか…。
社内でも同じように聞いて、最終的に「ぷちこーん」「バーガーくま」「かいじゅうせかいせいふく」の3つのキャラクター※に絞りました。
アンケート結果で見ると、「ぷちこーん」が一番人気、「かいじゅうせかいせいふく」もけっこう上位でした。
「バーガーくま」は社内の評価が高かったですね。
その3つで「Character Creation Lab.(キャラクタークリエイションラボ)」として、2018年11月から活動を始めました。

※ここで3つのキャラクターについて簡単に紹介します

ぷちこーん:立派なユニコーンを目指し日々をゆるゆる過ごしている。力を合わせて地域の平和を守るのがおしごと
バーガーくま:とあるカフェに生息するハンバーガーのくまとゆかいな仲間たち
かいじゅうせかいせいふく:せかいをせいふくするべく地球にやってきた4匹のかいじゅう。とある秘密基地で、日々人間のことをべんきょうしているらしい

 

―「ぷちこーん」「バーガーくま」「かいじゅうせかいせいふく」、3つのキャラクターは全部ほしのこさんの作品だったんですね。

この3つはアンケート結果ももちろん良かったんですが、自分が動かしたいと思えるキャラクターだったというのが最終的に残した理由です。
「ぷちこーん」はぱっと見て直感的にかわいいと思えるキャラクターを目指し、「バーガーくま」はただかわいいだけじゃない、シュールな感じを目指しました(笑)。
3つの中でも「かいじゅうせかいせいふく」は自分の好みを推していったというのが強かったですね。
私、怪獣とか恐竜とかドラゴンが好きなんですよ。

 

―ところで、絵を描くのはもともと得意だったんですよね?

いや全然!
こういう絵を描くのは小学生ぶりかなっていうくらい。
イラストの勉強をしてきたというわけでもなく、まったくゼロから。
ぬいぐるみやキャラクターものは好きだったけれど、描いたことも、発信したこともないんです。

各キャラクターの性格などは、例えば戦隊もののキャラのように、王道パターンに当てはめていきました。
あとは出来上がったキャラの顔を見て、この子はこうだね、この子はこうだね、と。
自分の中の妄想みたいなものですね。

 

―3つのキャラクターの中から「かいじゅうせかいせいふく」はコミック配信サイトで連載になりました。

「キャラクタークリエイションラボ」では、3つのキャラクターをまずTwitterで動かし始めて、その中で反応が良かったのが「かいじゅうせかいせいふく」でした。

[山田](次の展開にあたっては)つてを頼って出版社の編集の人などを紹介してもらい、話を聞いたりしていました。
何もかも手探りでやっていましたが、いろんな方と話して分かったのは、「自分の中から出てきたもののほうがお客さまには伝わっていく」ということ。それで、“ほしのこ”の中から出てきた「かいじゅう~」にまずはフォーカスして、ということになりました。

いろんな会社さんに“一緒に売っていきませんか”と提案してたんですが、オリジナルファンシーキャラクターではなかなか厳しくて。
そんな中で、KADOKAWAさんが運営するWEBコミック配信サイトの「コミックNewtype」では、いろいろなファンシーキャラクター作品も掲載されているということで興味を持ってもらいました。
それで話が進んだんですが、実際に掲載に至るまでは、何度か打ち合わせに行っても「これ本当かな?」と。
先方からは毎回いろいろなアドバイスをいただいたのですが、逆にこっちが不安な気持ちになってしまいました(苦笑)。

[山田]「コミックNewtype」に載っているのは、プロの人たち、ちゃんとした漫画家さん、イラストレーターさんの作品。
そこにホビーメーカーの一社員が描いた作品が載るなんて…と信じられなかったですからね。

 

―今後の展開について教えてください。

4月2日に1分間のアニメーションを公開します。
実際にうごいているかいじゅうたちを見ていただいたほうが、より「かいじゅうせかいせいふく」の世界観が伝わりやすいと思って作りました。
しばらくはその反応を見つつ、Twitterや、「コミックNewtype」での連載を続けさせていただきながら、小さくでも商品化ができたらいいなあと考えています。

 

作品情報

作品名:かいじゅうせかいせいふく
原作者:ほしのこ
Twitter : https://twitter.com/kaijyu_sekai
HP : https://charactercreationlab.com/

掲載情報

掲載先:コミックNewtype
HP : https://comic.webnewtype.com/
掲載開始日:1月21日(火)~
作品掲載日:毎月第2、第4火曜日

 

 

次に続きます。

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